アンビリバボー 5

ググ ズズズ 

何とも気味の悪い音が聞こえ目が覚めた。

しばらくすると、また聞こえる。

ググググ 

雪の音。
厩舎のほうからだ。
屋根の上に積もった雪がゆっくりとゆっくりと滑り落ちる音。

前日の夕方に撮影した写真です。

DSC_1497

厩舎全面に向かって雪が滑り落ちてきている様子が分かります。
これが一気に滑り落ちてしまったら、厩舎前面はとんでもない量の雪に覆われ、馬たちを出すことができなくなる。
早いうちになんとかせねば、と思っていたその日の夜に、まさに滑り落ちようとするその音が聞こえてきたのです。

僕は急いで起きて厩舎に向かった。
雪は止まっている。
しばらくその様子を見ていたけれど、音も聞こえない。
止まっている。

でも、またいつ滑り始め、すべてが落下するとも限らない。
最悪の事態を想定できるなら、そのための対処法を取ることだ。

僕はそう判断して、こんな真夜中に馬たちをつなぎ場に連れ出し、そして放牧もした。
一晩だけだ、多少は寒いがこんなの平気だろう?
明日の朝までここにいなよ。

埋もれてはいけない他の道具類もすべて運びだし、部屋に戻ろうとした。

……、でもゲンさんが僕の顔を見ながら、放牧場の入り口に来てこう言うのだ。
「わしゃ、寒いよ。耐えられんよ」

ゲンさんは寒いのが苦手。
体調を崩してしまう。
万が一、こんな雪の状況で毎日雪かきに追われる毎日で体調を崩されたら……。
僕はそちらのリスクが大きいと判断した。

やっぱり馬たちを馬房に戻すことにしたのだ。
雪が落ちても前面に落ちてしまうだけ。馬たちが埋もれることはないのだから。

翌朝。
屋根の雪はそのままだった。
ホッとする。

と、いうわけで、今日は屋根の雪をなんとかしよう!!
試しに屋根に上ってみる。
こんなカンジです。
DSC_1487

高さ4mの厩舎の上に、長さ30m高さ1mの雪がこんなふうに積もっているのです。
約1.5mほど滑ってずれているのが分かります。

圧巻。
絶景。

これが落ちたら、雪かき地獄が倍増するぞ。

よっしゃいっちょう掻いたるか!!
腕まくりをして、手につばを引っかけて、力こぶを二度ほど作って掻き始めたのです。
でもね、もちろん、これ全部は無理。
とんでもない量だし、危ないし。
だから、少しずつ掻いては裏に捨て、掻いては裏に捨てを繰り返しました。
DSC_1493

疲れたら、ちょっと休憩して写真撮影。
DSC_1488
お~い、お前たちぃ、こっちが見えるかあ?

DSC_1491
お、伊澤さんとお手伝いに来てくれているコイケさんがたまったボロを片付けてくれている。

DSC_1492
そうか、馬場はあんな風になっているのか。
まだ130cmは積もっているなあ。

そうしてようやっとのことで、屋根の『一部』雪下ろしが終わったのでした。
これで4分の1ぐらいは減ったでしょう。
たとえ落ちてきたとしても、少しは被害が小さくなっているでしょう。
何より、こんなに大量の雪を載せて屋根を支えていた厩舎の負担が軽くなるってもんです。

そして、僕の気持ちも少し軽くなったのでした。

伊澤さん、そしてコイケさんのおかげで今日も作業がかなりはかどりました。
ボロを捨てに行く畑も全部が雪に覆われてしまっているので、しばらくは牧場内にためておくことにしました。
そのボロ捨て場も雪を掻いて作ってくれました。

DSC_1495

少しずつ、少しずつ。

最後に今日の一枚。
DSC_1474

勇猛果敢にフッカフカの雪に突っ込み、歩けるエリアを増やそうとしたリッキー。

でも、あまりにも深すぎて動く気が萎えてしまっていました。
「無理っす」